BリーグからNBAへの移籍を果たした初のプレーヤー、馬場雄大。
筑波大学で1年生から3連覇を経験し、卒業を待たずにアルバルク東京に入団。
Bリーグと日本代表として国際試合で活躍したのち、アメリカにわたり主にGリーグでプレー。
馬場選手は2020年7月にオーストラリアのプロリーグ、NBLのメルボルンユナイテッドへ移籍し、今はオーストラリアでプレーしています。
日本人プレーヤーが歩んでこなかった「異色」だらけの我が道を行く馬場選手。
「日本バスケ界のパイオニア」と呼ばれている彼のキャリアを振り返り、再びNBAに挑戦することができるかどうかを考察していこうと思います。
馬場雄大プロフィール
名前:馬場雄大(ばばゆうだい)
生年月日:1995年11月7日
身長・体重:196㎝・90㎏
ポジション:SG・SF
経歴:富山第一高校→筑波大→アルバルク東京→テキサスレジェンズ→メルボルンユナイテッド
NBAまでの軌跡
1995年11月生まれの馬場選手の地元は富山県。
地元の強豪、奥田中学、富山第一高校でウインターカップ出場を経験しており、年代はかぶっていないものの、日本人初のNBAドラフト指名選手、「八村塁」の中学の先輩にあたります。
その後、強豪筑波大学へと進学すると在学1年目からインカレ2連覇を達成。
さらに在学中にアルバルク東京と契約。
持ち味である粘り強いディフェンスと、国内プレーヤーの中では突出した身体能力を武器に、強豪、アルバルク東京でもメキメキと頭角を現します
優勝も経験し、個人としても6THMAN賞、新人賞、そしてBリーグ ファイナルMVPと輝かしい成績を収めています。
NBA選手に
そして2019年7月。
日本人史上4人目のNBA選手が誕生しました。
馬場雄大(当時アルバルク東京)がダラスマーベリックスとの契約を勝ち取ったのです。
これは日本バスケの歴史を書き換える出来事となりました。
日本のプロリーグ、「Bリーグ」では海外から助っ人外国人選手が入ってくることがあっても、海外に進出していく選手はほとんどいません。
さらに、先陣である田臥勇太、渡邊雄太、そして八村塁らはみなアメリカの大学を経験してからNBA入りを果たしています。
そんな中、Bリーグから世界最高峰リーグNBAに移籍という前例のない快挙を成し遂げ、馬場選手は日本人プレーヤーの新たな道を切り拓きました。
これは日本バスケ界のスター、比江島慎や、竹内譲次らがチャレンジするも、成し遂げられなかったほどレベルの高いことです。
その後、馬場選手はNBAのプレシーズン終了後にダラスマーベリックス傘下のチーム、「テキサスレジェンズ」でプレーすることになります。
念願のNBAでのプレーは叶いませんでしたが、バスケの本場、アメリカでの挑戦は続きました。
NBAの壁
初めのうちは出場機会を得ることができずに馬場選手は悩んでいました。
自分に足りないものは何か自問し、出場しても、結果を残そうという意識ばかりが先行して、空回りする日々が続きます。
言語のハンデもあり、いつ切り捨てられるかもわからない。馬場選手は行き詰っていました。
しかし、そんな馬場選手に進むべき道を示す、一人の人物がいました。
同じGリーグのメンフィスハッスルに所属する、渡邊雄太選手です。
すでにチームの中核として、堂々とプレーする渡辺選手を見て、馬場選手ははっとしました。
「自分は結果ばかり残すことに必死だった。渡邊さんは違う。チームのことを考え、勝つためのプレーをしている。」
その日から、馬場選手の意識が変わります。
自己の生き残りのために数字に残るプレーをするのではなく、チームのために必要なプレーをすることに専念したのです。
持ち味のディフェンスで相手のリズムを崩し、持ち前の身体能力で速攻の最前線を駆け抜け、堅実な得点を重ねていきました。
必ずしもスタッツには残らないけれど、献身的なプレーを継続することにより、馬場選手は監督の信頼を勝ち取ります。
出場機会は徐々に増え、一時はスターターに名を連ねるほど、Gリーグに水に適応して見せました。
しかし、2020年3月、コロナウイルスの感染拡大に伴い、Gリーグはシーズン半ばにして、残りの全試合を中止することを決定。
思わぬ形で馬場選手の挑戦は終わりを迎えました。
そして2020年7月
馬場はメルボルンユナイテッドへの移籍を表明します。
2021年1月にメルボルンユナイテッドでのデビューを果たし、10得点を挙げ勝利に貢献しています。
馬場雄大がNBA入りする可能性は?
まず結論を述べると、「可能性は大いにある」と考えます。
ただ、そのためにはいくつかの関門が残されています。
NBA入りできるのか考察していきます。
馬場雄大がNBA入りできる理由
なぜ、馬場選手はNBA入りが可能か。
その理由と馬場選手がNBAするために必要な要素をいくつかピックアップしていきます。
高い適応能力
馬場選手には非常に優れた適応能力が備わっています。
馬場はこれまで、筑波大学、アルバルク東京で加入1年目からチームに適応し、活躍の場を勝ち取ってきました。
テキサスレジェンズでは壁に直面するも、日を追うごとに出番を増やし、ローテーション入りを実現しています。
2021年1月のメルボルンユナイテッドデビューもダンク2本を含む10得点と、その適応能力は健在です。
どんな環境でも実力を発揮できる馬場にさらなる成長が期待できます。
成熟した精神面
プロ4年目を迎え、着実にキャリアを積み上げるとともに海外挑戦でさらなるタフネスを身に着けています。
馬場選手のNBA再挑戦はおそらく、再度Gリーグに所属するところからはじめることになるでしょう。
Gリーグの選手はNBA選手とも異なり、広いアメリカ大陸をバスで移動したり、食事やホテルも自分で用意するなど、待遇には大きな違いがあります。
厳しい状況に置かれることにはなりますが、バスケに集中できさえすれば、すでにGリーグで戦い抜くメンタリティは備えているといえるでしょう。
伸びしろのあるプレースタイル
馬場選手がNBA入りを果たすための最大の強みがそのプレースタイルです。
196センチという恵まれた体躯に、俊敏性、機動力も備え、守備も一級品。
卓越した技術を誇る富樫選手、田臥選手は、小柄な体格から苦戦を強いられました。
反対に、207センチの巨体、竹内譲次選手は技術面でNBAの壁に阻まれています。
一方馬場選手は少々体重不足ではあるものの、身長や能力はNBAでも十分戦っていけるものを備えています。
ハードな筋力トレーニングを積めば、現在、着実にNBAでの出場機会を獲得している渡邊雄太選手のようになる可能性を馬場選手も秘めています。
馬場雄大がNBA入りするための必要な要素
馬場雄大がNBA入りするために必要なことは何でしょうか?
考察していきます。
筋力の強化
NBAが世界最高峰リーグである理由の一つに、圧倒的な身体能力があります。
世界のどのプロリーグを見てもNBAが圧倒的ナンバー1であることは間違いありません。
馬場は日本人選手の中で突出した身体能力を持っています。
しかし、それがかすんでしまうほど、NBAは次元が違います。
まずは、NBA選手にも対抗できるフィジカルを手に入れること。
これは絶対的に必要な条件です。
そのために大量の筋力トレーニングと、厳格な栄養管理が必要になるでしょう。
ディフェンス力の強化
馬場はもともとディフェンスに定評のある選手です。
そのディフェンス力に磨きをかけ、馬場のアピールポイントに仕上げていくことが必要です。
お手本とすべき存在は、すでにNBAデビューを果たしている渡邊選手です。
渡邊選手は身長206センチ、ポジションはSF,PFと馬場選手と特徴が異なりますが、ディフェンスで相手のリズムを乱し、こちらのテンポにするという点では変わりはありません。
今ある特徴をさらに伸ばすようなワークアウトが求められます。
役割の明確化
NBA選手を大きく分類わけすると2つのタイプに分けることができます。
1つは「オールラウンダータイプ」
パス、ドリブル、ポストプレイ等何でもできるスーパースタータイプ。
レブロンジェームズや、ケビンデュラント、最近の選手だとルカドンチッチ、日本人選手だと八村塁が該当します。
もう一つは「ロールプレーヤータイプ」
一芸に秀で、自分の役割を全うすることで勝利に貢献する職人タイプ
リバウンドに特化したデアンドレジョーダンや、3ポイントシュートに特化したボグダン・ボグダノビッチ、日本人でいえば渡邊選手などがあげられます。
馬場選手がNBA入りするために目指すべきは間違いなく後者です。
特に適しているのが、近年のNBAのトレンドにマッチして需要が高まっている「3&D」です。
守備と3ポイントシュートに特化した選手のことで、堅守で相手のペースを乱し、3ポイントを確実に決めて流れを引き寄せるような選手です。
現役での代表格はスパーズ、ラプターズ、レイカーズで優勝を経験しているダニー・グリーンです。
各チームから引く手数多な3&Dとして、地位を確立できれば、馬場選手がNBAのコートに立つ日もそう遠い未来ではないと思います。
まとめ
ここでメインテーマに対するポイントをまとめていきましょう。
結論:馬場選手がNBAデビューする確率は大いにある
【理由】
①高い適応能力
②成熟した精神面
③伸びしろのあるプレースタイル
【必要な要素】
①大量の筋力トレーニングによる体づくり
②ディフェンス力の向上
③役割の明確化
今まで富樫選手や比江島選手、竹内譲次選手等、多くの日本のスター選手がアメリカに挑戦し、厳しい現実に直面する中、馬場選手は昨年Gリーグとの契約を勝ち取って見せました。
馬場選手本人も夢はNBA入りと公言しているので、NBLは修行の一環ということになります。
夢を追い続け、自分だけの道を進む馬場選手を、同じ日本人として、今後も応援していきたいですね。